Special Talk スペシャル座談会
受け入れ先の企業と、外国人技能実習生と、オアシス。
実習生の受け入れに対する想いを、
三者それぞれが本音で語り合います。
Talkers 参加者
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株式会社浜勘 山岸清志さん
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株式会社浜勘 岩間雅之さん
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ベトナム人実習生 日本在住5年目 フエンさん
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インドネシア人実習生 日本在住2年目 ディオさん
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オアシス協同組合 倉益 寛史
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オアシス協同組合 趙 煒氷
ご協力いただいた企業
株式会社浜勘
茨城県大洗町にある水産加工会社。1919年創業の長い歴史を持つ。敷地内には3つの工場があり、主にカニやエビなどの加工・販売を行う。オアシスを通して実習生を受け入れ始めたのは2013年頃からで、実習生を受け入れる環境がしっかりと整っている。
公式HP
hamakan2.jimdo.com
実習生を受け入れ始めた
きっかけ
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倉益浜勘さんとのお付き合いは6~7年と長いですが、実習生を受け入れ始めたきっかけは知らなかったので気になっていました。ぜひ経緯をお聞かせください。
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岩間さん浜勘は創業100年以上になりますが、20年ほど前から日本人パートの高齢化によるスタッフ不足に悩んでいました。その頃から実習生の受け入れを始めましたが、当時は実習生のほとんどが中国人でした。ところが2011年の東日本大震災から、中国人が日本から離れて行ってしまったんです。
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倉益安全が保証されていても、中国人には危険な印象が強かったのかもしれないですね。
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岩間さんそうですね、中国の実習生の親が帰ってこいと言っていたパターンも多かったです。そこで、付き合いのある近隣工場に相談したところ、ベトナムやインドネシアの人たちがとても優秀だという話を聞き、実習生として受け入れはじめました。
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趙実際に、みなさん真面目で優秀な人が多いですよね。どうですか、ディオさん。
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ディオさんはい、周りで働いている皆、とても仕事に真面目な人が多いです。
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山岸さんディオくんも本当に真面目ですよ。
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ディオさんはい、僕も真面目に働いています!(笑)
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最初はコミュニケーションが難しくても、
思いやる心で通じ合える
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倉益今の浜勘さんは実習生の受け入れに慣れているので、私たちは浜勘さんなら安心して実習生を送り出せますが、初めは苦労しましたか?
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岩間さんそうですね。実習生を受け入れ始めた頃は、コミュニケーションに悩みました。私たちはベトナム語も英語も話せないので、毎日試行錯誤。ジェスチャーを入れたり、単語や短い言葉で話すようにしたり。
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フエンさん私は日本語の日常会話は困らなくなったけど、まだ難しい言葉は分からないときがあります。そんな時に、浜勘の人たちは簡単な言葉で言い換えたりしてくれるんです。
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倉益浜勘さんの実習生はみんな日本語が上手ですよね。
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山岸さんオアシスさんから来た実習生は日本語を勉強してから来るので、日本語の基礎ができている人が多いです。だけど、実習生同士も日本語で会話するようにいつも言っています。
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倉益浜勘さんでは、先輩が日本語や仕事のことを積極的に教えている様子をよく見ますね!私たち組合や学校でも、Zoomで日本語講座を開講したり、日本語試験の情報を公開したりして実習生を支援していますが、実習生のお二人は活用していますか?
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フエンさんはい、活用しています!
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岩間さんフエンさんは、再来週の日本語試験を受けるんだよね、勉強は順調かな?
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フエンさん仕事が終わった後に、インターネットや教科書を使って毎日1時間くらい勉強しています。次のテストは漢字の読み書きもある難しい内容なのでちょっと不安ですが、頑張ります!
とにかく丁寧に指導してくれる
実習生にとって働きやすい職場
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ディオさん浜勘の人は皆親切で、本当に実習生にとって働きやすいところだと思います。
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趙具体的にはどんなところが、働きやすい環境だと思いますか?
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フエンさん浜勘の人も先輩もとにかく丁寧に指導してくれるところです。どんなに細かいこともちゃんと教えてくれるし、やりやすい仕事を与えてくれる。だから仕事に対して不安がありません。家族みたいな存在です。
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倉益浜勘さんで充実した生活を送られているんですね!
フエンさんは実習期間があと1年ほどですが、もっと長く居たいとは思わないですか? -
フエンさんう~ん…。浜勘は大好きだけど、今は母国に帰りたい気持ちもあります。
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倉益えっ!なぜですか?
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フエンさん本当は日本に両親を連れてきてずっと働きたいです。だけど、両親は高齢でそれはなかなか難しい。
なので、ベトナムに帰って親の面倒をみながら働きたいんです。 -
岩間さんその話は以前から聞いていますね。寂しい気持ちもありますが、彼女の気持ちを何より尊重してあげたいです。
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倉益でも、「ベトナムで働きたい」と会社の人を前にして言える。
そんな風に、実習生が会社に気を遣わずに本音を話せる浜勘さんの環境は本当に素晴らしいと思います。 -
山岸さんフエンさんもさっき言ってましたが、私たちは家族のような存在です。
相談しやすい空気を作ってあげることも大切だと考えています。 -
フエンさんみんな優しくてよく相談に乗ってくれます。実習生同士も仲が良くて、さっきも鮭の工場で働いている先輩が遠くから大きく手を振って挨拶してくれました。その先輩も、よく話を聞いてくれます。
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倉益浜勘さんのような環境の会社なら、私たちも気持ちよく実習生を送り出せますね。
能率・効率よりも
安心・安全に働ける
職場環境を
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倉益浜勘さんは、実習生と仕事をする上でコミュニケーション以外に大切にしていることはありますか?
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岩間さんそうですね…。コミュニケーションはもちろんですが、実習生によって忙しい作業・楽な作業が偏ったり、
残業時間が偏ったりしないように気をつけていますね。 -
趙実習生のお二人は仕事をする上で大切にしていることはありますか?
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フエンさん私は、常に清潔にすることを心がけています。食品の加工会社なので。
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ディオさん僕も衛生面は気をつけています。髪の毛が入らないようにしたり。
あとは、安全に作業するように気をつけています。
蟹のボイルを作る時もあるので、安全な作業が大切だと教えられています。 -
岩間さん実習生の皆さん衛生面や安全面は気をつけてくれていますね。能率・効率ももちろん大事ですが、それよりも安心・安全に働くように常に伝えています。私たちも品質管理部を設けるなど、管理者としてルールや環境づくりを大切にしています。オアシスさんは仕事をする上で大切にしていることは何ですか?
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倉益浜勘さんでは起きない話なのですが…。実習生が困った時に「相談できない」ことがないように気をつけています。問題が起きてしまったときは、企業・実習生それぞれから個別に話を聞いて、なるべく両者と同じ目線に立って解決することを心がけていますね。
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実習生との思い出話から伝わる、
仲の良さ、環境の良さ
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倉益実習生を受け入れ始めてから、特に思い出に残っていることはありますか?
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山岸さん今は世情的に難しいですが、前は社員旅行を年に2回ほど開催していました。自由参加ですが、実習生はほぼ全員参加していましたね。カラオケや宴会で盛り上がったり、実習生はお風呂に浸かる文化がないのに温泉を楽しんだり。とにかくみんなで騒ぎましたね(笑)日本人だけだと、あの盛り上がり方はできないと思います。
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趙本当に、みんな仲が良いですね!フエンさんとディオさんも社員旅行には行きましたか?
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フエンさんはい、とても楽しかったです!お酒がなくても、みんなでおおはしゃぎして(笑)
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ディオさん僕はまだ社員旅行には行けていないんです。でも、今の話を聞いてとても楽しみになりました。
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岩間さんコロナが落ち着いたら皆で行きたいね!
オアシスさんは私たちとの長い付き合いの中で何か思い出に残っていることってありますか? -
倉益私が特に覚えているのは、ある日の夕方、仕事が終わる頃に皆で集まって作業をしなくてはならなくなった時、社長の後を追って何十人もの実習生がニコニコ走って工場に入って行く様子ですね。あれは本当に印象的でした。浜勘さんに実習生を受け入れてもらって本当に良かったと思いました!今でも鮮明に覚えています。
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岩間さん私も覚えています、前社長のエピソードですね。あれは私もよく覚えています。
今も前社長の理念はきちんと残っていて、「挨拶」がそのひとつです。 -
倉益たしかに、浜勘さんに来るといつも社員の方も実習生の方も皆さん元気に挨拶をしてくれるのが印象的です。挨拶って当たり前のことだけど、社員全員に挨拶が根付いている会社はなかなかで無いですよ。しかも、色々な国の人がいる環境で。気持ちの良い挨拶は文化や言語を越える、大切なコミュニケーションですね。
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受け入れで大切なことは、
「実習生をひとりの人間としてリスペクトできること」と
「時代の変化を理解していること」
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倉益浜勘さんからみて、どんな企業が実習生の受け入れに向いていると思いますか?
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岩間さん実習生を「大切な仲間」として受け入れられる企業だと思います。昨今は減ってきてはいますが、残念ながら実習生のことを「低賃金だから」とか「外国人だから見下していい」とかって思っている会社もありますよね…。そういうところは実習生の受け入れには向いてないです。今は技能実習の期間が3年から5年に延びたので、より「一緒に長く働くパートナー」だという考えを持っていることが大切です。
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倉益実習生をひとりの人間としてリスペクトできることですね。
あとは「俺たちの時代はこうだった」と考えてしまう時は、今一度実習生の立場に立って、考えることが大切だと思います。 -
山岸さんあー、分かります。
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倉益今は、時代が違う。人も環境も違う。常に変化しているんです。その変化を受け入れられる企業じゃないと外国人の雇用は難しいと思います。「俺たちの時代は」という考えをもってしまっていると、うまくお互いの理解が進まないことが多いです。「実習生をひとりの人間としてリスペクトできるか」と「時代の変化をきちんと理解できるか」、この2つがとても重要ですね。
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山岸さん人として当たり前のことは、実習生を受け入れるときも同じです。
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倉益そうですね。人として当たり前のこと…その通りですね。
今日の座談会は色々考えられて、とても良い時間になりましたね。 -
ディオさんありがとうございました。浜勘さんで働けて良かったなと改めて思えました。
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フエンさんこれから日本に来る実習生のみなさんにも、私たちが日本でどう暮らしているか、伝わると嬉しいです。
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趙本日はお時間をいただきありがとうございました!