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# 受入れ企業の声

日本語学習にも仕事にも、
3歩先を考え行動してもらうためのヒントを。

2023.4.11
  • 業種 型枠施工
  • インドネシア
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  • 今回は、技能実習生の日本語教育に熱心な創彩有限会社・彩惠工業株式会社の坂口裕子さんに、実習生の日本語学習支援を始めたきっかけや支援内容、その効果について伺いました。他社様でも取り入れられそうな取組みや、漢字が苦手な実習生向けの学習方法等もご紹介いただきましたので、ぜひご覧いただき、お役立てください。

  • 会社紹介・自己紹介をお願いします。

    創彩有限会社・彩惠工業株式会社の坂口裕子と申します。自称、実習生の日本の母です。

  • 実習生の日本語教育支援を始めたきっかけは何ですか。

    最初に配属された実習生は、実習を終えて帰国する頃にも「ゴミ」と「グミ」の使い分けができないような日本語レベルでした。その次の実習生も、自習で日本語能力試験(JLPT)N5を目指してもらったものの、やはり自習では学習の継続が難しかったようで挫折してしまいました。彼らの様子を見ていて、技能とは別に語学の指導が必要だと思いました。

  • その後、どのような語学指導を始められましたか。

    月に1回、日曜日を利用し、実習生の日本語能力ごとにグループを分けて、勉強会を始めました。日本語能力を伸ばすことで、仕事中の日本語理解がスムーズになり、その結果仕事がうまくいくようになるということが、実習生に日本語学習を継続してもらう第一の目的です。勉強会では、実習生にたくさん話してもらうこと、わからない言葉は時間がかかっても辞書で調べさせ、自分の中に落とし込んでもらうことを心がけています。

    同時に、弊社に入社した実習生には技能以外の資格も取得してほしくて、日本語能力試験の対策を行うことにしました。2号実習生には当たり前にN3を取得してほしいですし、3号実習生はN2を目指してほしいと本人たちにも伝え、学習に取り組んでもらっています。試験に合格すると、毎月の給与に手当がつくことにもなっています。

  • 勉強会で行っていることや、勉強会での実習生の様子を教えてください。

    1回の勉強会は2時間で、うち1時間は試験対策(インターネット上にある過去問題等を利用)、もう1時間は、実習生たちが苦手としている、漢字や漢字交じりの文章をカバーする時間(市販のテキストを使った読み合わせや宿題の答え合わせ)としています。

    宿題では、実習生が(N3を受験予定であればN3出題範囲の)漢字リストの中から、自分で漢字を20字選び、その漢字を使った熟語を20例書いてきてもらっています。勉強会では、実習生それぞれが異なる漢字、異なる熟語を用意して来るので、様々な漢字・熟語に触れることができます。熟語の意味を確認しながら覚えてもらうので、その場で新たに覚えた熟語を使ってジョークを言う実習生もいて、楽しくおしゃべりしながら学んでいるような感じです。

    学んだ漢字には丸をつけていくので、リストを見ると漢字学習の進捗が一目瞭然ですし、丸のついた漢字が増えていくことに達成感もあると思います。

  • 継続して実習生の日本語学習を支援する中で気づいたことや、効果的だったと感じることはありますか。

    現在新しい1号生にも勉強会に参加してもらっているのですが、配属直後から1回目の勉強会では、あまりやる気が感じられませんでした。ですが、先輩たちの日本語の勉強に対する姿勢に刺激され、2回目以降はとても真摯に受講してくれています。

    新しい実習生は、同国出身の先輩がいると母国語で頼ってしまい、日本語の習得が遅れるのではと思っていましたが、先輩実習生が努力して日本語を習得し、仕事で活躍している姿を目の当たりにして、仕事ができるようになるためには日本語能力の向上が必須と感じ取り、態度を改めたのだと思います。先輩実習生の言動で全く違う結果が出ることを痛感しています。

  • 日本語学習を継続する中で、実習生たちに変化はありましたか。また、それらの変化は学習開始後どのくらいの時期から見受けられましたか。

    変化は十人十色なので一言で表現できませんが、勉強を続けている2・3号の実習生は、日本語能力試験に合格したり、他社の外国人の方や作業員の方に日本語の能力をほめていただいたり、様々な場面で日本語の能力を認めていただけるようになりました。それが自信につながり技能も向上していき、日本語能力試験だけでなく技能講習などへも意欲をもつようになっています。そんなうれしい出来事を日本語で報告してもらえるようになったのは3年目に入ったころからです。

  • 実習生への日本語教育のほか、実習生と関わる日本人社員のみなさんに対しても、実習生との関わり方や伝わりやすい日本語コミュニケーションについて教育していますか。

    どうしても「勉強会」の活動が目立ってしまいますが、現場の作業員の方たちも、休憩時間などに実習生とできる限り業務外の会話をしてくださったり、去年は面倒見の良い生活指導員がワクチン接種の予約や食料の買出しを進んでサポートしたりと、実習生が日本での日常生活を安心して過ごせるように社員全員で関わっています。

    また、実習生には、毎月の会議で「今月の作業目標」と「先月の目標についての進捗」を話してもらい、実習を行う上での課題を全員で確認するようにしています。日本語学習も仕事も、実習生が目先のことだけに囚われてしまわないよう、3歩先を考えて行動してもらえるようなヒントを与えるようにしています。

  • 受入れ企業様からは、「実習生にもっと日本語がわかるようになってほしいが、どうすれば彼らの日本語能力が伸びるかわからない」といった声が挙がることもあります。このような企業様にアドバイスはありますか。

    休憩時間や移動の車の中などで、仕事以外の会話をするだけでも変わります。まずは実習生に毎日なにか仕事以外の質問を考えてきてもらい、日本人の作業員の方に質問することを続けていくだけでよいです。例えば「家族は何人ですか?」「こどもはいますか?」「休日は何をしていますか?」など・・・。そして日本人の作業員の方がこれに答えることを繰り返していくうちにコミュニケーションもとれるようになり、実習生の会話力は驚くほど向上します。

    会話の中で共通の趣味や職業経験が見つかって盛り上がったり、会話で打ち解けられたことがきっかけで、実習生が高齢な日本人作業員の方に自発的に声を掛け、重い荷物を持ってあげる等の気配りをするようになったりと、本人たちは、学んだ日本語を積極的に使ってみることで職場の人間関係に馴染める実感も得ていると思います。

  • いかがでしたでしょうか。

    休日に2時間の勉強会と聞くと、教える側の準備も、教わる側の予習・復習も大変そうと思うかもしれません。確かに支援も学習もそれなりのエネルギーが必要となる取り組みですが、お母さんのような存在である坂口さんと、日曜にテーブルを囲んで会話しながら学ぶスタイルは、実習生たちにとっては試験勉強のハードルが下がり、楽しく学びながら良いリフレッシュにもなっているのではと想像しますし、先輩の成功例が見えることや、社員のみなさんが実習生の成長を見守り応援してくださっている職場環境、試験合格後の手当等も、学習や実習のモチベーション維持・向上につながっているものと思います。

    組織が一丸となって実習生を受け入れ育てる体制を整備することや、社員全員で国際協力の視点を持つことは決して容易なことではありませんが、インタビュー中に坂口さんが「でも技能実習の趣旨って本来そういうものですよね。ただ趣旨通り行っているだけなんですよ」と笑顔でさらりと仰ったことがとても印象的でした。

    弊組合では、今後も組合員のみなさまの様々な取り組みをメールマガジンや自社サイト等を通して紹介して参ります。技能実習生・特定技能人材のよりよい受入れに、ぜひお役立てください。

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